入れ歯の変色について
先日40代の女性から、質問されました。
「入れ歯の歯が黄ばんで、笑う時に、口元を隠してしまいます。」
「 どうにかならないでしょうか?」
入れ歯をお使いの方の一般的なお悩みの中に、入れ歯の変色の問題があります。使っているうちに入れ歯が変色してしまったという内容ですね。
変色の原因としては、 食品等に含まれる色素の沈着と入れ歯の材料の劣化が考えられます。
また、入れ歯のどの部分が変色したのかも、解決方法を探る時には、考えておく必要があります。入れ歯は、ピンク色の歯ぐきの部分と白い歯の部分と金属でできているひっかけるバネ(ハリガネ)の3つの部分から、できています。(写真を参考にして下さい)
入れ歯の歯の部分の変色
変色の相談で多いのは、入れ歯の歯の部分の変色についてです。
食品の色素が沈着したという場合は、入れ歯の歯の表面についたものであれば、入れ歯ブラシ等で清掃して、入れ歯洗浄剤に浸けることで落とせる場合もあります。
超音波洗浄機が、ご家庭にあれば、お使いいただくと、よりきれいに落とせます。それでも、落ちない場合は、歯科医院に、ご相談ください。
歯科医院専用の入れ歯の洗浄剤は、ご家庭用のものよりも強力ですので、それで落ちてきれいになる場合があります。
部分入れ歯の歯にひっかかるバネ
次に相談されることが多いのが部分入れ歯の歯にひっかかるバネ(ハリガネ)の金属部分の変色です。
これは金属部分が酸化したり硫化したりすることによる場合がほとんどですが、その原因が入れ歯洗浄剤にあることもあります。
特に次亜塩素酸系の洗浄剤は脱色効果が強く、キッチンハイターのように、入れ歯の歯ぐき部分のピンク色の変色が起こることもあると言われています。
そして洗浄剤の中に防錆剤(ぼうせいざい)が入っているかいないかによっても影響を受けます。
防錆性というのは金属に錆びが出ないようにするための薬剤で、これが入っていると金属部分が変色しにくく、入っていないと黒ずむ場合が多いようです。
ただしこれも絶対とは言い切れません。防錆性が入ってさえいれば必ず変色は防げるというわけでもないようです。
また、保険外の入れ歯は金属床などを使う場合もあり、金属の種類もコバルトであったりゴールドであったり、チタンであったりする場合もありますので、合わない洗浄剤を使用すると変色を起こしてしまう場合があります。
自分の入れ歯にはどういった洗浄剤が合うのかをあらかじめ医師に確認しないといけません。どうしても洗浄剤と金属の相性は避けられないものだからです。
例えば、浸ける時間がほんの少しなら大丈夫ではと思いがちですが、化学反応ですから相性が悪ければ瞬間的にも反応が起こります。
時間の長短ではありませんのでご注意下さいね。金属部分が変色しても使用に大きな問題が起こるというわけではありませんが、口を開いた時に目立ってしまうので、見た目の問題があるでしょう。
まとめ
変色の2番目の原因である、入れ歯の材料の時間的な経過による劣化は、簡単な方法では、改善できません。基本的には、その部分の交換になります。部分的に交換できることをご存じない方も多いと思います。
入れ歯は、いろいろな種類や構造のものがありますので、できない入れ歯、できない部分もあります。私の歯科医院でも、古い入れ歯の前歯の部分だけ交換等もよく行っています。
詳しくは、お近くの入れ歯に詳しい先生(前回の記事を参考になさってください)に、ご相談して、交換可能か、聞いてみてください。
ご自分にあった入れ歯を長く使うコツの一つが、入れ歯の変色について知っていただくことです。今回の記事をぜひ参考になさってください。