入れ歯の寿命(耐用年数)について
入れ歯を作る時に、何年ぐらいもつのかと、よく患者さんから聞かれます。 今回は入れ歯の寿命(耐用年数)について説明していきたいと思います。
まわりの方でも同じ入れ歯を中には10年も20年も実際に使われていらっしゃる方もおられと思います。公式の見解では、どうなっているでしょう。
入れ歯の専門の学会を補綴(ほてつ)歯科学会といいます。
その社団法人 日本補綴(ほてつ)歯科学会のホームページには「補綴歯科なんでも質問箱」というページがあるのですが、そこに「入れ歯は何年ぐらいで作りかえたほうが良いですか?」という質問が寄せられていて、答えとしては「状態によりさまざまなので、合わなくなったり不具合を感じた場合に早めに歯科を受診して相談すること」をお勧めしています。
それだけだと、一般論過ぎるかと思いますので、 実際の治療の中で、こういう点を考えたら良いと思う点を説明していきます。
入れ歯の大きさが寿命に関係している
まずは入れ歯の大きさが、寿命に大きく関係しています。
入れ歯を入れて、毎日食事をするわけですから、入れ歯の歯の部分が、すり減るのは必ず出てきます。大人の歯は、全部で28本あります。
入れ歯は、歯が1本なくて、1本分の入れ歯の方もいますし、すべて歯がなくて総入れ歯の方もいます。
かむ力を、1本の入れ歯と27本の自分の歯で負担すると、 入れ歯の負担は少なく、歯のすり減りも少ないわけです。
総入れ歯は、かむ力を全て入れ歯の歯で負担するので、歯のすり減りは多くなる場合があります。
このようにまずは、入れ歯の歯の部分はすり減りは出てきてしまうので、それが入れ歯の寿命と関係しています。
入れ歯がゆるくなる
次によく聞く話だと思いますが、入れ歯がゆるくなる、それに関わる入れ歯の寿命と言う話をしたいと思います。
ゆるくなるのは、歯がすり減るのに伴って、起こる場合があります。
靴のかかとのすり減りのように、右側なら右側がすり減ると、右と左でかみ合わせの高さがズレて、かみ合わせも不安定になります。
すると入れ歯がガタついてしまいます。 入れ歯がガタつくとその刺激で、入れ歯の下の歯ぐきが痩せてしまいます。また大きな病気をすると、体が痩せますよね。
その時には歯ぐきも痩せてしまうことがあります。このように入れ歯と歯ぐきの間が空いてゆるくなるのも、入れ歯の寿命、作り替えに関わります。
部分入れ歯の場合
部分入れ歯で実際に多いのは、入れ歯はバネ(ハリガネ)の部分で、残っている歯にひっかかるわけですが、そのひっかけた歯がだめになることによる場合です。
ひっかけた歯が虫歯になって、治療をしなおすこともあります。またかぶせ物が外れて、その歯のかぶせ物を作りなおすときに、かぶせ物に合わせて、バネ(ハリガネ)も作ってあるので、入れ歯が合わないくなってしまいます。
またひっかけた歯が、歯周病でグラグラになって抜けてしまう場合もあります。
まとめ
以上のように、入れ歯の歯のすり減り、歯ぐきとのぴったりぐあい(スキ間)、バネ(ハリガネ)をかけた歯の不具合等、様々な、条件によって、入れ歯の寿命は変わってきます。
上のような変化は必ず起きるものですが、その程度によって作り直さずに修理等で済む場合もあります。
いつも良い状態で入れ歯を使うために、何かあってからではなく、定期的に入れ歯のチェックをして上手に入れ歯と付き合っていきたいものです。