入れ歯にしたら、出っ歯になった!
「前歯がなくなって、入れ歯を入れたら、出っ歯になって見た目が悪い。会話がしにくい。」
とおっしゃって入れ歯のご相談にいらっしゃる方がいます。
入れ歯専門の歯科医として考えると・・・「入れ歯を入れたから出っ歯になる」ということは、ちょっと考えにくいですね。
まったくその方に合わないサイズ(高さ)の入れ歯なのか、入れ歯の歯並びがおかしいのか、それともなんらかの違和感が口の中にあって、まるで歯が邪魔をしているように感じるのか・・・
何が原因なのかは、その方のお口の中を実際に拝見してみないと判断は難しいですね。
ただ、長年入れ歯をするのがイヤで、歯の無いまま生活されていた方の場合、歯がない状態に慣れてしまって、前歯がとても大きく、邪魔者のように感じられることはあると思います。
唇の内側は常に歯と接触しているものですし、通常はそこに意識を持っている人はおられないでしょう。
無意識的にその感覚が正常だと思っているところに、違う感覚が入り込むと、とても大きな違和感につながる場合はあります。
特に口の中は髪の毛1本入っただけで大きな違和感を感じるくらい敏感でデリケートな部分ですから、無かった歯がいきなり入れ歯、とても大きな異物が入っている気持ちになっても不思議ではありません。
ただし、唇をきちんと閉じることが出来ないとか、どうしても発音が出来ない音があるとか、無理に合わせようとすると入れ歯が外れてしまうといった不具合があるのであれば、合わない入れ歯を作ってしまったように思います。
入れ歯を作る過程
通常、歯科医院で、入れ歯を作る過程には、出っ歯、歯が引っ込みすぎ、歯の大きさがあわない等を患者様に確認してもらうステップがあります。
保険の入れ歯は、1型取り 2噛み合わせ 3仮合わせ 4完成という4つのステップで作るのが、一般的です。
患者様が、見た目が気になる入れ歯になってしまうのは、この3の仮合わせのステップで、うまくいかずに、起きることがあります。
「仮合わせ」のステップ
例えば、仮合わせのときに、 歯が出ていて 出っ歯になっている時に、患者さんから「出っ歯になっているので、 もう少し引っ込めたいのですが」といわれて、先生の方でそれを、歯を作る技工士さんに伝えて、仕上げることになるのです。
その時に、技工所で作業をする技工士さんは、実際に、その現場にいないので、ひっこめる程度がわからないのです。それで、引っ込め方が足りなければ、出っ歯の入れ歯が、出来上がってしまいます。
この仮合わせのステップをもう一度やって、「本当にこれで大丈夫」と患者様が、OKがでたものを完成させると、こういった行き違いは、なくなるわけです。
ただ仮合わせの時には、緊張していたりしますので、落ち着いた状態での判断ができずに、その場では、OKだと思っても、完成後に、実際に入れ歯を入れてみて、歯が出ているとか、歯の大きさが大きすぎる、小さすぎる気がして見た目が、イヤダという方もいらっしゃいます。
お試し用の入れ歯
実際に、入れ歯を使ってみた上で、その点もチェックしたいという方は、お試し用の入れ歯を作って、それを実際に使って、つけ心地や見た目も体感して、作ることをしないといけないかもしれません。ただ、お試し用の入れ歯は、保険外治療になってしまいます。
見た目が気になる方が入れ歯を作る時には、仮合わせのステップをどういう手順を踏んでくれるのかを、よく担当の先生と相談して、納得のいく方法を選んでお作りになってください。
入れ歯作製時には、仮合わせのステップが、非常に大事というお話でした。